
AMABIE
2020 木材・胡粉・顔彩・金泥・ラピスラズリ
疫病の時代に現れる妖怪〈アマビエ〉をモチーフとした創作面。 アマビエは、海に棲む半人半魚の妖怪であり、その姿は江戸時代の瓦版(京都大学附属図書館所蔵)に描かれている。 頸から下はウロコに覆われ、三つに分かれた尾ヒレを持つ。 尖った嘴、菱形の眼、耳の位置にあるヒレなど、異形の特徴を備えた存在である。 瓦版によれば、アマビエは災厄を予知し、その際に 「私の姿を写して広めよ」 ——と語ったとされている。 「写す」という行為は、能面の制作技法その ものである。 私は、アマビエの身体的特徴を能面の型へと落とし込み、アマビエ面として制作した。 能面において金色の眼は、この世のものではない超自然的な存在を表す。 妖怪であるアマビエの眼にも、同様に金色の彩色を施している。 このアマビエ面は、疫病や不安の時代に現れる「祈りの顔」であると同時に、 その出現自体が〈禍〉を予告する、 〈まじない〉と〈まがまがしさ〉のあわいに立つ存在である。 アマビエは、「現れてしまった」ことで、すでに平穏の外側にある。 それは浄化の象徴でありながら、災厄の訪れそのものでもある。 この面は、伝承の単なる再現ではない。 「写す」という行為に宿る祈りと呪術性を重ねながら、 アマビエという存在に、新たな顔を与える試みである。
(研究協力)
兵庫県立大学の田中キャサリン准教授による、アマビエについての論文に研究協力しました。
『PANDEMIC PERFORMANCES: THE NEW NOH PLAY AMABIE AND AMABIE NOH MASKS』
Kathryn M. TANAKA



__
撮影:中野達也 | Photography: Tatsuya Nakano
.jpg)
『肥後国海中の怪(アマビエの図)』(京都大学附属図書館所蔵)
Photograph courtesy of the Main Library, Kyoto University – Amabie








_edited.jpg)




.jpg)