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面ドロイド
MENdroid


面ドロイド ―MENdroid―
2019
ミクストメディア
:木彫彩色(能面)、写真(身 体:麻生りり子/撮影:中野達也)
Statement|作品コンセプト ― 面ドロイド
面ドロイドは、能面という「顔」が主体となり、人間の身体を獲得することで新たな存在へと変容し、「人間とは何か」を探るミクストメディア作品。 ここで描かれる「面ドロイド」は、機械の身体を持つロボットではない。 タイトル〈MENdroid〉は、mask(面:めん)/men(人間)/face(面:おもて)という語の多義性に、アンドロイド(android)に含まれる接尾辞 -oid(〜のようなもの)を掛け合わせた造語である。 それは、「人間のように見える何か」、そして「顔が主体として先行し、身体を従わせる存在」でもある。 能では、演者が主体を保ったまま、面という無機の仮面を通して、人物や霊的存在を現前させる。 面は意志を持たない道具であり、能楽師の身体と声によって生命を与えられる媒体である。 それを可能にするのは、長年の修練に裏打ちされた技法と意識の制御である。 しかし本作《面ドロイド》では、その関係が反転する。 修練を積んでいない作者の身体は、能面にいとも容易く取り込まれてしまう。 「顔」 が「私」の上位に立ち、意図や自覚とは無関係に、身体は“顔の器”と化していく。 本作は、「顔」「身体」「主体(self)」のあいだにある関係性を揺さぶり、 私たちが当然視している「自己とは何か」「人間らしさとは何か」を問い直す試みである。
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